珈琲の香り
涼さん、何を考えているの?

私と風花さんを会わせて、どうしようと言うの?

私と風花さんじゃ比べ物にならないことぐらい、私だってわかってる。

それを風花さんの前で突きつけようと……?

……でも、涼さんはそんな人じゃない。

そう信じたい………


「……来い。」

「……は…はい…………」


迷うことなく進む涼さんを追いかける。

だけどその足は遅くて。

きっとそれは、馴れない靴のせいで足が疲れただけじゃない。


……私、風花さんに会いたくないのかも………

それが例え、お墓の中で眠る人であっても……


『聞かなかったことにする』

きっとその答えがここで出る。


それが……怖い……

どんなにきれいな格好をしても、どんなに女らしく振る舞ったとしても、涼さんには届かない。

きっと……やっぱり………

「おいていくぞ。」

「はい……」


それでも、ついていくしかない。

どんな答えが待っていようと……


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