花嫁に読むラブレター
にこにこと、まるで幼い子供のような笑顔。マイアよりも、五本指以上も年上だと聞いているのに、なんだか施設で一緒に住む子供の笑顔と変わらない。
「よく言うわ。ユン様以前私に訊いたじゃないですか。『マイアさんって、いつ頃このお店に訪れるのですか?』なんて。あと、毎回毎回うちに来るたびに頭ぶつけるのもそろそろやめていただかないと、いつか扉のほうが壊れてしまいます」
ユンと呼ばれた、青年の声真似をしながらミリア姉さんが目をすぼめる。
「ちょ、ちょっと、それは言わないでって……」
「ちなみに。贈り物のほうも、ばらしちゃいましたから」
ミリア姉さんは、肘をついたまま片方の手でマイアのしまいこんだ果物を指差す。すると、ユンはみるみるうちに青ざめていった。