花嫁に読むラブレター

 マイアは、フィーネと二人で作ったクッキーを口に運ぶこともせず、ただひたすら文字を追った。鼓動が早い。瞬きするのも惜しんでいるかのように、目を見開いている。

 手紙を読み終え、マイアはいつの間にか止めていた息を思いっきり吐いた。

 もう一度、文の筆跡を辿り、マイアは静かに手紙を折りたたむ。机の中央に手紙を置き、それをじっと見つめた。マイアの表情は、中身の見えないびっくり箱を目の前にした子供のように緊張している。眉を寄せて、不自然なほど身体が硬直していた。

 ステイルからの手紙の他にも、マリーおばさんとシェリィからの手紙も机には置かれている。どれも同じ封書で書かれていた。内容も、さほど差はない。ただ、シェリィの手紙だけは唯一、手紙といえるものではなく、一行二行と大きな波のような字でマイアとの別れを惜しむ文だった。
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