花嫁に読むラブレター

「昔の恋人からかしら?」手紙を持ってきてくれたレナータが言う。

 なんとなく、彼女の言葉に含みを感じて、マイアは隠すことなく顔色を変えた。

「違うわ」

 マイアが不機嫌になったのを悟ったのか、レナータが「冗談よ」と笑う。しかし、マイアはその些細な行動や言動すら癪に障った。気のせいだと思い込もうと必死に努力するが、馬鹿にされているような気分は消えない。

「ごめんなさい、気分を害されたのなら謝るわ。訊かれたくないことだったのなら、もう訊かないですし」

 しおらしく眉尻を下げ、小さく頭を下げる。

 けれど、マイアの中に生まれた小さな火種は、少しずつ少しずつ薪に火を移していっている。今にも暖炉の中に炎でいっぱいになってしまいそうだ。

 ただでさえ、レナータを見ているとステイルを思い出してしまうというのに。些細なことで、敏感になってしまう。マイアの思い違い、と改めるにはまだマイアは拙すぎたのだ。
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