花嫁に読むラブレター
どれくらいの時間をそうしていたのか覚えていない。
マイアは手紙を見つめたまま、ふと視界のうちに窓をとらえて目を丸くした。もう外は暗くなっている。昼食の後にフィーネとクッキーを焼いてから、ずっとぼんやりしていたのかと思うと、思いがけない動揺を覚えた。
誰にも咎められることのない、重いため息をついた。
ステイルからの手紙は、何気ない内容であった。最後の瞬間の出来事――口づけのことで何か言い訳じみた内容でもよこしてきたのかと期待したものだが。結局、ステイルにとって、あれがどんな意味を持っていたのかわからないままだ。
知らないままがいい。と、思う心と、何が何でも知りたい。と、思う心が戦っている。状況は互角だ。どちらも、足元はもろい古木の橋の上で戦っている。視線を下にやれば、流れの速い川が飛沫を上げて、マイアを誘っているだろう。どちらも、あと一度でも攻撃を受けてしまえば川の流れに身を呑まれてしまいそうである。
知りたい。でも知らないほうがきっと幸せでいられる。
わかっているのに、思いは川の流れのように、止まらない。