花嫁に読むラブレター

 明日会ったとき、前のように笑えるだろうか。前のように冗談を言い合い、ときにはステイルに眉をひそめられたり小言を言われたり、そんな普通の触れあいができるだろうか。

 照明も落ち、隣にはユンが静かな寝息をたてて眠っている。

 シーツの中を泳ぐように、マイアは物音をたてないようにゆっくりとユンに向き直った。

 子供のように、枕を胸に抱き込んで眠っている。分厚いカーテンを閉め切った室内に明かりはなく、はっきりと表情はわからない。なかなか眠りに落ちることができなかったマイアが、すっかり闇に眼が慣れた頃には、ユンの息遣いすらも見えるようになっていた。

 マイアは力を込めて握りしめていた手をゆっくり解いた。指が震えている。

 怖いのだ。

 ユンを大切に思う気持ちに偽りはない。けれど、いつも心の隅っこにステイルがいる。最後の口づけが忘れられない。
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