花嫁に読むラブレター
明日の結婚祝いで、ステイルに会うことを楽しみにしているもう一人のマイアがいる。胸を高鳴らせて、わくわくしているマイアがいるのが怖い。
だが、ステイルに会う楽しみと、ユンを失う恐怖を天秤にかけたとき、マイアはユンを失うほうが怖いと思った。
それは孤独になってしまう恐怖なのか、ユンを大切だと思う心からの恐怖なのか、わかりかねていた。
それが、とても怖い。
マイアは震える指で、ユンの手を静かに握った。
起こさないよう、なるべく気配を消しての行動だったが、ユンはうっすらと目をあけ、マイアを見つけると、ふにゃりと微笑んだ。迷子になった幼い子が、母を見つけた瞬間の目だ。失ったはずの宝物を見つけて、心底安堵したときの、笑顔。
不意に、マイアの目から涙がこぼれた。
ユンはその様子を不思議そうに見つめ、マイアの震える手を握り返す。そのままマイアの身体をさらうように抱きしめた。
「怖い夢でも見たの?」
マイアはユンの胸に額をすりよせた。「うん、そう」と頷くと、涙がぽろぽろ落ちてきた。
ユンの腕の中は、お日様の匂いがした。
夫婦らしい営みも、それどころか口づけすら交わしていない間柄だけど。でも、それでもいいと思った。
回された腕は温かくて、力強い。
今まで何を不安に感じていたのか忘れてしまうほど、心地よかった。