花嫁に読むラブレター
ようやく顔をあげ、頬を膨らませながら呟くと、マリーおばさんが明らかな苛立ちを眉間に表しながら言う。
「あんたねえ……。確かにあたしは勧めたかもしれないけれど、最後に決めたのはあんた自身だろう? それを人のせいにするなんて、みっともないねえ」
言われて、マイアは全身がかあっと熱くなった。
「だから、わたしは結婚したことに後悔なんかしてないってば!」
咄嗟に声を荒げてから、はっと周りを見渡した。
誰かに話を聞かれて、勘ぐられたくない。マイアは実は、ユンとの結婚を望んでいなかった、なんて噂が立ってしまえば、それこそアルヴィオンでうまくやっていく自信がなかった。
だが、運よく周りには誰もおらず、心の底からの安堵の吐息が漏れた。
「――そうかい。だったらあたしも安心してこの後帰れるさ。ステイルが傭兵団に入っちまったせいで、あんたが落ち込んでるんじゃないかって心配してたもんだから――」
「待って。傭兵って……なに?」
聞かされたマイアよりも、マイアが知らなかった様子にマリーおばさんは目を丸くさせながら驚いた。
「あんた……知らなかったのかい?」
「知るわけないじゃない。ずっとここにいたのよ?」
「ああ、そうだねえ。確かにそうだ。――ステイルは、昔ブラウンが所属していた傭兵団に入ったんだよ。あんたが嫁いですぐにね」
「……もう、あの家にいないの?」