花嫁に読むラブレター
不自然なほど、ずっと握りしめていた拳を開けると、飾り気のない指輪が陽の光に反射して、銀色をきらめかせた。
「本当はこれを渡しに来たんだ。……マイアさんに逃げられなくてよかった」
微笑みながら、マイアの指を取ると、左手の薬指に指輪をはめた。ほんのり汗ばんだ指輪は、マイアの指に違和感なく納まっている。
呆気に取られているマイアを無視して、ユンは早口で言葉を続ける。照れを隠すかのように。
「そろそろ戻ろうか。ほら、随分経つからいなくなって、みんなが心配してるといけないでしょ?」
いまだぼんやりとユンを見つめたまま、何も言わないマイアの手を強引に取り歩き出した。引きずられるようにして、ユンの後をついていたマイアは、突然に口を開いた。
「ねえ、ユン」
「なに、どうしたの?」
ユンの赤く染まった耳を見つめながら、マイアは続ける。
次の言葉を言ったら、ユンは振り返ってくれるかしら。