花嫁に読むラブレター

「――キスをして欲しいの」


 ユンが突然立ち止まり、マイアの額が思いっきりユンの背中にぶつかった。

 ぎこちない動作で振り返ったユンは、見ているマイアが赤くなってしまうほど、緊張していた。

 目が合ったと思ったら、突然視線をそらされた。真っ赤な顔で、何かを考えているのか、手を振ったり辺りを見渡してみたり、意味のないように思われる行動を何度も何度も繰り返した。

 どちらの心臓の音かわからないほど鼓動は速く、緊張しているというのにマイアは思わず笑いが込み上げてきた。

 そろそろと近づいてきたユンが、小声で「……目を閉じて」と呟く。マイアは笑顔で頷きまつ毛を伏せた。

 息がかかるほど、ユンが近くにいるのがわかる。強張った気配が、目の前にある。

 指が頬に触れ、前髪をかきわけユンが額に口づけをした。

 思わず目を開けると、ユンが再び目をそらした。

「……今日はこれで勘弁して」

 逃げるように、ユンがマイアの手を引いて歩き出した。
 
< 144 / 227 >

この作品をシェア

pagetop