花嫁に読むラブレター
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 マリーおばさんたち、施設のみんなが帰ってしまった後のマイアは、激しい喪失感の中でただひたすら時間が経つのを待っていた。

 夜が訪れ、辺りが暗くなると、マイアの気分はさらに沈んだ。

 アルヴィオン家に嫁いできても、マイアの家族は変わらず施設のみんなである。彼女らが会いにきてくれるのは嬉しい。けれど、去ってしまったあとの、胸にぽっかり穿たれた穴を埋めるのはなかなか難しい。

 いない生活に馴染んでいる頃は、彼女らの存在を懐かしいと、会いたいと思うことはあっても今のような心臓をぎゅっと握られたような痛みはない。マイアの日常は、アルヴィオン家の中にあるのだから。しかし、懐かしい顔ぶれに会って、以前の気持ちがよみがえってくると、途端にマイアの日常が昔に傾く。戻りたいと考えてしまっている自分自身の苦い思いが喉もとを通るのだ。

 ユンのそばにいたいと心から願っていても、郷愁を感じるのだけは止められなかった。

 しかし、だからこそ今日はこれでよかったのだとも思う。

 ステイルがこの場にいて、会って、話して、また別れて。今感じている苦しさよりも、ずっと耐え難いものがあったのだろうと想像すると、マイアの眉が思わず歪む。

 会っても、傭兵団に入ったことを教えてもらえなかったら?

 それこそ立ち直れないほど、傷ついただろう。

 そんなことを心に抱きながら、最後の客人が屋敷から去るのを深く頭を下げながら見送った。
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