花嫁に読むラブレター
何か音が聞こえる。
レナータはマイアがいつも書き物や読書をしている机の前に立ち、正体のわからない何かを見つめているように見えた。不規則に聞こえる音も、彼女が見つめる先にあるのだろう。折り曲がった腕が、何かを支えているのか、ときおり白いものが視界をかすめる。けれど、マイアの立ち位置からは、ものの正体が何も見えてこなかった。
マイアはさらに扉に近づき、息を殺して扉に指を添わせた。
そっと、音がたたないように、ほんの少しずつ扉を開けていく。ゆっくりと、室内から洩れる光が大きくなっていった。
ようやく部屋の中すべてが見渡せるほど扉を開けたとき、レナータが何をしているのか悟り、身体に流れる血液全部が沸騰したかのように全身が熱くなった。
「何をしているの!」
勢いよく振り返ったレナータの表情が、驚きに固まった。
ステイルからの手紙を手にしながら。