花嫁に読むラブレター

 ――ステイルの傍に、誰も寄ってこないで。

 新しい孤児の子供が来ると知らされたとき、いつも願っていたのは、歳の近い女性じゃありませんように、だった。

 ステイルは優しい。けれど、その優しさは靴敷のようなものだ。普段はあたりまえのように受け入れていて気づかないが、ふとしたとき、あれはステイルの思いやりだったのだとわかる。なくなって、初めてその不便さに気づき、ありがたみを感じる。

 見返りを求めずさも自然とやってのけてしまうステイルを知ったら、きっと惹かれずにはいられない。

 だから、街への買い出しを名乗り出た。少しでもマイアの知らないところで、ステイルと誰かが顔見知りにならないように。重い荷物を抱える仕事だから、ステイルに任せたらどうなの、というマリーおばさんの言葉に強く反論して。

 自分から離れていってしまうのが怖かった。自分ではない誰かに惹かれていくステイルを見たくなかった。

 きっと、レナータも同じ思いでいたのかもしれない。
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