花嫁に読むラブレター


 ステイルからの手紙は、彼の律儀な性格を表すように一週間に一度、必ず届いた。

 しかし、以前のような心が躍りだすような期待が込められることはなくなった。良くも悪くも、あのパーティーが開かれた日に聞いた、ステイルが傭兵団に入ったという事実――知らされなかったということが、強い諦めに繋がったのだろう。ステイルが傭兵団に入ったと聞いてから、すでに数か月は経とうとしているのに、一度も自分のことを手紙に書いてよこさない。じんわりと切なさが浮かびはするが、やはり以前のような胸を強く叩かれるような苦しさを伴った痛みは感じなかった。

 届いた手紙を引き出しに入れ、マイアは椅子から立ち上がり窓辺に立った。

 窓を引き上げ、外の空気を取り込むとカーテンがふくらみ、マイアの髪を揺らす。前より少し伸びた髪は、もう腰を越してしまった。昔は顔を洗うとき、水面に映る自分の髪を見るたびに嫌気がさしていたが、最近は逆に日々艶を取り戻していく髪に指を通すのが楽しみだった。フィーネが作ってくれた、木の実の油と蜂蜜、それにバターをふんだんに練ったものを髪に塗りたくるのだ。塗り始めたばかりの頃は、さほど変化のみられない髪質に肩を落としたものだが、次第に指を通しても絡まらないことに気づき、毎日の湯あみが楽しみになっていた。
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