花嫁に読むラブレター

 食事のとき、そのことをフィーネに話すと、彼女も自分のことのように喜び、次の日髪に飾る花の形の髪留めを持ってきてくれたのである。まるで本当の娘のように、髪に触れながら鼻歌を歌うフィーネと話す時間がとても好きだった。一緒に街にでかけるときは、髪に薔薇の香油を塗り、刺繍がたくさん入った洗いたての服を着る。踊るように歩くたび、自分から流れてくる香りにうっとりする。フィーネからも同じ匂いがしたとき、ふと胸が温かくなった。

 些細な変化は、外見だけではなかった。

 まだ施設の小屋に住んでいた頃は、ちょっとしたことで苛々しては怒鳴り散らかしていた。しかし最近、全くないわけではなかったが、そういう感情に流されることが極端に減った。鏡を覗くたび、本当に自分の顔なのか疑うほど、表情も穏やかになっている。窓辺に立ち、目を細めながら景色を眺めていると、仕事から帰ったばかりのユンが驚き言葉を失って立ち尽くしていたときがあった。振り返り、目で微笑んでみせると、ユンが真っ赤になって、言葉を詰まらせた。

 家をよく開けるユンには、マイアの変化は突然のように思えた、と後から聞いたとき、マイアはそんなものかしら、と他人事のように考えたのを覚えている。

 そんなマイアの伸びた髪を見て、フィーネはそろそろ切りましょうか、と楽しそうに言う。けど、そのたびにマイアは首を横に振った。

 自分の髪を好きだと思えるようになったため、切るのが惜しくなった、という理由もある。だがそれ以上に、少しずつ変わってきている、見逃しがちな自分の変化そのものを失ってしまいそうで嫌だった。
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