花嫁に読むラブレター
折り重なる死体。ちぎられバラバラになる手足。誰だか判別がつかなくなるほど、ひどい傷を顔に負った男たち。
男は思わず口元を抑えた。
ひどい臭いと、ひどい光景に、胃の中の液が喉元までくるのがわかった。震える足で、男はステイルを探すつもりで戻ってきたことすら忘れて再び逃げた。
涙が次々溢れてきた。
怖い。ただ、その思いでいっぱいだった。
『ステイルがうちの子だというのを聞いていたのでしょうね。……泣きながら土下座するのよ。ごめんなさい、って』
マイアはただ黙ってフィーネの声を聞いていた。
『謝らなくてはいけないのは、こちらのほうなのに。恐ろしい思いをして必死に戦っている間、私は不安だの怖いだの言いながら、安全な場所で毎日ちゃんと眠れているのだもの』
その通りだと思った。
けれど、感情は理屈を追い越して一人歩きする生き物だ。
マイアは、逃げたその男が憎くて仕方なかった。