花嫁に読むラブレター
ユンの部屋の前で立ち止まると、マイアは目を閉じ深く息を吸った。ゆっくりとそれを吐き出すと、ほんの少しだけ落ち着く。目を開けると、今までよりはっきりと景色が映るような気がした。
何に緊張しているのだろう。
久しぶりに会うユンに?
……違う。この胸を打つような鼓動は、嬉しさからのものではない。罪の意識からくる、後ろめたさ。知られたくない、思い。それが全身の血と共に流れている気がした。ユンの部屋の前まできてもなお、病に臥せっているユンではなく、今はもういないと知ったステイルのことが頭から離れない。この気持ちが、なんなのか、マイアもよくわからなかった。
扉を叩く勇気が出ないまま、雑念に身を沈めていると、ふと部屋の中から声が聞こえた。
掠れたユンの声と、カーヤの声だ。
扉に隔たれたマイアのいる場所まで、話している内容までは届いてこない。けれど、時おりカーヤの楽しそうな笑い声が高く響くのを聞き、何とも言えない居た堪れなさを感じた。
ユンとカーヤは、幼馴染のような――もしくは姉弟のような関係だとユン本人から聞かされたことがある。そのときは、レナータのことも、同じように語っていた。きっと、本心だろう。そのことに疑いを抱いたことはない。けれど、どうしてか、この瞬間、ユンとカーヤが楽しそうに話している様子に、激しく動揺し強い嫉妬を覚えた。