花嫁に読むラブレター
(よくこんな道を買い物のたびに通っていたわね……。昔のわたしには感心しちゃうわ)
服についた土や葉を払落し、荷物を担ぎ直す。数日分の着替えと食糧、それだけしか持ってきていない。あとは、数日に一回、家を訪れたときに持ってきてくれると、馬車を走らせていた男性が言っていた。
急勾配の道を登りきると、急に視界が変わった。
空の色を映した泉の中を、今も変わらずたくさんの魚が泳いでいる。暖かい風が吹き、土や緑の濃い自然の香りを運んできた。
疲れも忘れて駆けだした。
建てられた家は、本当に泉のすぐそばにあった。木造の、小さな小屋とも呼べる家。中に入ると、まだ新しい木の匂いがした。
机も椅子も寝台も、何もかも揃っている。野菜を冷やすための大きな桶、釣り道具さえもあった。
マイアは荷物を置き、再び家の外に出た。
もうここには戻ってこないと思っていた場所。そこに自分は立っている。感動してもいい場面なのだろう。けれど、マイアはこの大好きな場所が、とてつもなく悲しい場所に思えて仕方なかった。