花嫁に読むラブレター

「ねえ、マイア。……アルヴィオンはきっともうすぐアルヴィオンじゃなくなる」

「ステイルは、国の為に戦いたいって昔よく話してくれたわ」

「そう。……あの囮の作戦を聞かされるまではね、ずっとそう思ってた。けど、剣に突き刺されて、倒れて意識を手放すまで考えた。家族の為ってなんだろうって。僕の命でたくさんの命が助かって、僕の家族が助かっても、僕の死を知った家族は、どう思うのかなって」

 ステイルは、マイアに影を落としたまま続けた。

「僕が反対の立場なら嬉しくない。一緒に暮らせてこそ幸せだ。……そんなことを考えていたら、マイアの顔が浮かんだ」

「わたしの?」
「そう」

 ステイルの手がマイアの頬に伸びてきた。ゆっくりと、丁寧に頬を撫でると顎に唇に、次々と触れていく。

 崩れるようにして、ステイルがマイアの体を抱きしめると、寝台が音を立てて沈む。

 心臓が壊れそうなほど、音をたてている。

 あれほど望んだ優しさ、ステイルの手。それが今、自分に触れている。涙が次々溢れて、ステイルの服を濡らした。

 マイアが泣いていることに気づくと、ステイルは少しだけ顔をあげ、マイアの顔を覗いた。

「……ごめん。遅くなったけど、僕はずっとマイアが好きだった。依存してたのは、僕のほうだ」

「――ステイル、わたし、あなたにお願いがあるの」

 マイアの涙を拭いながら、ステイルは力強く頷いた。

「うん、なんでもきくよ」

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