花嫁に読むラブレター
◆◇◆◇◆◇
バッタが草の隙間から逃げるように飛び跳ねた。
下着が見えるのも気にせず、少女は地面を這いながらバッタを追いかける。そのたびに、ふたつにわけた編み込みの、縄のような髪が頬を打つ。鬱陶しそうに顔を顰めながらも、視線は決してバッタからそらさない。今、何よりも重要なのは、どちらが勝つかだ。逃げる足が勝つのか、それとも追いかける足が勝つのか。真剣勝負の真っただ中である。
バッタが止まれば少女も止まり、息を止めて相手を睨みつけた。
飛び跳ねる瞬間を狙い、また少女も跳躍する――が、ほんの少しバッタのほうが素早かった。突き出した両手の間を器用に潜り抜けていった。
少女は、その場に座り込んで、頬を膨らませた。真っ赤な頬と、潤んだ瞳。よほど悔しかったのだろう。今にも泣きだしそうに、薄い唇がふるふると震えている。
「ヘレン、そんなところに座り込んでると、また母さんにお尻引っ叩かれちまうよ」
少女――ヘレンは慌てて立ち上がり、お尻についた土や草を払い落とすと、声のしたほうへと駆けていった。泣きそうに震えていた表情から一変し、はちきれんばかりの笑顔だ。その変貌を見ていた者がいたなら、おそらく口をそろえてこう言うだろう。きっと、将来は有望な役者になるな、と。
バッタが草の隙間から逃げるように飛び跳ねた。
下着が見えるのも気にせず、少女は地面を這いながらバッタを追いかける。そのたびに、ふたつにわけた編み込みの、縄のような髪が頬を打つ。鬱陶しそうに顔を顰めながらも、視線は決してバッタからそらさない。今、何よりも重要なのは、どちらが勝つかだ。逃げる足が勝つのか、それとも追いかける足が勝つのか。真剣勝負の真っただ中である。
バッタが止まれば少女も止まり、息を止めて相手を睨みつけた。
飛び跳ねる瞬間を狙い、また少女も跳躍する――が、ほんの少しバッタのほうが素早かった。突き出した両手の間を器用に潜り抜けていった。
少女は、その場に座り込んで、頬を膨らませた。真っ赤な頬と、潤んだ瞳。よほど悔しかったのだろう。今にも泣きだしそうに、薄い唇がふるふると震えている。
「ヘレン、そんなところに座り込んでると、また母さんにお尻引っ叩かれちまうよ」
少女――ヘレンは慌てて立ち上がり、お尻についた土や草を払い落とすと、声のしたほうへと駆けていった。泣きそうに震えていた表情から一変し、はちきれんばかりの笑顔だ。その変貌を見ていた者がいたなら、おそらく口をそろえてこう言うだろう。きっと、将来は有望な役者になるな、と。