花嫁に読むラブレター
「マリーのおばあちゃん!」
「まだお婆ちゃんじゃないって何度も言ってるだろう!」
駆け寄ってきたヘレンの頭を軽くはたく。
叩かれた場所をさすりながら、ヘレンはとろけるような笑顔で恰幅の良いマリーの腰回りにまとわりつく。大きな荷物を引きずるように、マリーはヘレンを引っ張った。
「ねえ、おばあちゃん今日はなにしにきたの? パパとママに会いに来たの? ねえ、わたしとかくれんぼ?」
「あんたとはもう二度とかくれんぼはしやしないよ。あたしが見つける前に自分から出てきて驚かすのがやりたいだけだろう」
そのときひっくり返った衝撃で、腰を痛めたマリーは心底うんざりといった口調で言う。
「それよりも、今日もレムは父さんにべったりなのかい?」
「そうよ。ラブレター書いてるところ、じっと見てるだけ。つっまんない!」
ヘレンはマリーの腰から離れ、隣に並んで歩き出す。まだ六歳のヘレンには、マリーの歩幅は大きいらしく、髪を揺らしながら小走りなる。
「それにね、パパもひどいの。わたしが傍にいると『あっちへ行きなさい』って言うのに、レムだと何も言わないのよ」
「そりゃあ、あんたが手紙を覗こうとするからだろう」
「覗いたって、わたし字読めないもん!