花嫁に読むラブレター
手紙を書き終り、ふぅ、と息を吐くと背後で気配が小さく動いた。
後ろを振り返ると、自分とよく似た容姿の少年が、膝を抱えながら座っていた。部屋の隅で、ぬいぐるみのようにおとなしくしている。あまりに気配がなく、うっかり少年の存在を忘れてしまっていた。
椅子から立ち上がり伸びをすると、少年がふらふらと立ち上がり、こちらに寄ってきた。細い黄金色の髪がふわふわ揺れた。
「パパ、もう終わったの?」
「うん、終わったよ。……レム、いつもそうやって隅で見てるだけで楽しい?」
レムは無言で頷き、少し躊躇うように間を置いて喋りだした。
「……パパ、なんで毎日ママにお手紙かくの?」
純粋な疑問が、レムの目にはあった。これがヘレンだったら、意図を知っていてわざと聞いているのかもしれない。自分の慌て狼狽する様子を楽しんでいるのかもしれない、と深読みしてしまうのだが、レムの場合は違った。きっと、本当に心の底から不思議に思っているのだろう。
だが、まだ幼い子供とはいえ、自分の本音を話してしまうには抵抗があった。理解する、しないの問題ではなく。自分自身が、ただ恥ずかしいという理由で。