花嫁に読むラブレター
「別に、迷惑じゃない」
咄嗟に叫んでしまったが、続ける言葉が見つからなくて、適当にごまかす。マイアの気持ちなんて、一緒に住んでいる者ならば勘づいているかもしれない。だとしても、嬉しいという素振りを見せたくなかったのだ。一方的にふられている姿を、他人に晒したくない。
「――マイア。あんた、まだユン様にお返事を差し上げていないんだって?」
少しずつ、部屋の中に満ちていた重い空気が薄らいできた頃、マリーおばさんは唐突に言う。
「あんたいったい、どれだけお待たせするつもりだい」
「そんなのわかってるわよ。わたしだって考えてる」
ユンとは、相変わらず週に一度の買い出しのときに会っている。そのどれもが他愛のない会話だったり、この家に訪ねてきたり、まるで友達のように、家族のように過ごしていた。ユンのことを知らない子供たちも、すっかり馴染んで仲良くなっている。もともと穏やかな性格ゆえか、小さな子供は特にユンに懐いていた。
だが、結婚の話は一切出ない。
まるで、その話がなかったかのように。
「考えてるって、あんた。いくらなんでも長すぎじゃないのかい」
「――もう、ほっといてよ」
マイアは立ち上がり、首飾りを握りしめたまま家を飛び出した。