花嫁に読むラブレター
そう、最初からわかっていたことなのだ。
孤児同士は、戸籍がないゆえに籍は入れられない。たとえ、ユンの結婚を断り、ユンの籍に入れてもらったとしても、ステイルとは本当の「家族」になってしまう。そうなれば、恋人にすらなれない。シェリィのように、まだ幼いうちは里親が見つかり戸籍に入れてもらえることもあるだろう。だが成人したステイルやマイアに、その可能性は無に近い。
永遠に、形ある関係が結べるなんて、考えていない。
けれど、それでも――。
ともに暮らし続けることはできる。一生どちらも伴侶を得ず、孤児として国の厄介になりながらではあるが、一緒にいることはできる。ユンから結婚を申し込まれ、戸籍の話が出たときから考えていた。たくさん考えた。ユンと結婚しなくても、ステイルとは家族になり結ばれない。想いを告げることすら憚られる関係になる。ならばお断りするべきか? でもステイルは? 同じ思いでいると思い込んでいた頃ならば、迷いなく戸籍に入れてもらうことを拒んだであろう。けど違うのだ。ならば、ステイルにとって、戸籍に入れてもらえることは、今まで抱いていた騎士になりたい、戦争に参加したいという「夢」が現実になる可能性を生む。それを、マイアの我儘な一方的な気持ちで拒むなんてことはできない。でも、もし、今は無理でも、将来自分のことを好きだと思ってくれるようになっていたとしたら――?