花嫁に読むラブレター

 マイアがこの道を通ることを知っていて、待っていたのだろう。帽子をかぶっていないユンの毛先は雪で濡れている。

 手紙を出したあと、初めてユンと顔を合わすかもしれなかった買い出しの日。なんとなく、恥ずかしさがあり会うのを躊躇っていた。普段なら昼過ぎに出る家も、今日は起きてマリーおばさんの作った朝食を食べた後、すぐに家を出た。それなのに、ユンはこうしてやってきた。もしマイアはいつもどおり、昼過ぎに家を出ていたらどうしていたのだろう。ユンはマイアが招かない日は、自ら施設の家にやってこない。以前気安く来たらいいのに、とマイアが言ったのを聞き、「恥ずかしい」と照れながら首を横に振ったのを思い出す。たとえマイアが昼に通ろうが、夜になったとしても、ユンはこの場所でマイアを待っていただろう。雪よけの防寒具もなにもないというのに。

「――馬鹿だわ」
「え、なに?」

 無意識に呟いた声がユンにも届いたらしく、首を傾げる。

 マイアは慌てて首を振る。

「な、なんでもないわ」

 それより、と話題を変える。

「家にくる? ずっとここにいたのなら寒いでしょう。買い出しの前だからたいしたもてなしはできないと思うけど……」
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