花嫁に読むラブレター
マイアは言葉を失い、かろうじて頷くことができる程度だった。
「彼女は以前ぼくの家で働いていたんだ。でもミリアさんのお父様の事情で辞めなくてはならなくなって、その後、今のお店をミリアさんが引き継いだんだ。だからぼくも母もあのお店にはよく行っているんだよ。ごめん、言い出せなくて」
「な、な……」
憤りをそのおもてに浮かべ、唇を震わせながらマイアは声を漏らした。
「なんでそんな大切なこと黙っているのよ!」
「だ、だからごめんって……」
先ほどのしおらしいくらい大人しかったマイアは幻だったのかと思えるほどの変貌ぶりに、ユンはたじろぎ僅かに身を引く。
犯罪者を追い詰める警守のように、マイアはぐいっと身を乗り出した。
テーブルが揺れ、食器が騒がしく鳴る。
「ミリア姉さんのことはいいわよ。でもね、初対面じゃないなら初対面じゃないって、そう言いなさいよ。そもそもね、恥ずかしいとかなんとか言ってないで、男なら「好き」の一言でも言ったらどうなの? おかげでこっちは余計な不安抱えなくちゃいけなかったじゃないの」