花嫁に読むラブレター
普段この部屋は、女の子みんなの部屋である。マイアひとりだけの空間ではない。
だが、昨日だけはみんなが気を使って、マイアを一人にしてくれたのだ。
決してこの場所に戻ることができないというわけではないのに、やはり離れるのは物悲しい。机の傷ひとつ見るだけでも、幼い頃の自分をぼんやりと思い出せる。机だけではない。マイアがこの家に来たばかりの頃、窓を自分で開けることすらできなかった。背が足りなかったのだ。今ではすっかり背も伸び、前より人前で泣くことも少なくなった。マリーおばさんに叱責されるたび、瞳を潤ませていた幼い子供はもういない。
マイアは勢いよく毛布を跳ねのけた。
一瞬にして寒気が肌を滑っていく。ふるる、とマイアの体が震えた。
毛布を再び抱き込みたい気持ちをなんとか堪えて、マイアは冷たい素足のまま鏡台の前に立つ。映し出された自分と見つめあう。
(大丈夫……。くまはできていないわ)