花嫁に読むラブレター
なかなか寝つけなかった夜を思い、憂鬱だった気持ちが少しずつ晴れていく。みんなに笑顔で送り出してもらう大切な日に、目の下に影を作りたくなかったのだ。けれど杞憂もなくなり、マイアの顔に笑顔が戻る。
いつものマイア。
そして、この家で過ごす、最後のマイア。
髪も、いつもより丁寧に手入れをしたおかげか、少しだけ落ち着いている。使い古した箒の先のような広がりもなければ、寝癖だってない。何もかもが、完璧。鼻筋がもう少し通っていれば、なんて贅沢な悩みは今のところ忘れておこう。
大きく息を吸い込んで、ゆっくり吐いたところで鏡の中にいるマリーおばさんと目が合った。驚いて振り返ると、部屋の入口の柱に体をもたれかけさせ、じっとこちらを見つめていた。とても穏やかな笑みを浮かべながら。
初めてこの家にやってきて、おばさんがマイアに笑いかけたときのことを思い出す。マイア、よろしくね。と、大きな手で頭を撫でられたときの、ほっとするような、それでいて泣きたくなるほど胸が熱くなる気持ち。
「珍しいねえ。あんたが自分から起きるなんて」