花嫁に読むラブレター

 マリーおばさんに、ブラウンおじさん。シェリィや今まで一緒に暮らしてきた家族。みんながマイアを取り囲み、口々にお祝いの言葉を笑顔で贈ってくれた。マイアよりも小さな手を何度も握って、何度も離した。そのたびに、マイアの胸に切なさがせりあがってきたけれど、悲しい別れをするわけではない。そう、思い出し、マイアは「ありがとう」と呟いた。

 けれど、その中にステイルの姿はなかった。

 マイアは再び立ち止まり、遠くなりつつある家を振り返る。

 歩みを止めるたびに、ユンも止まり、同じ場所に視線を巡らせた。何も言わず、時おり目が合えば微笑みを返してくれる。そんな何気ない空気が心地よかった。

 しかし、ユンの背後で――丘の上で大きな影をひとつ見つけたとき、マイアの心にさざ波が打ち寄せたのだ。

 ステイル。

 ステイルが、家から少し離れた大きな一本の木の下で、じっとこちらを窺っている様子がはっきりとマイアには見えたのだ。

 心臓が鳴った。
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