オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
これ以上範囲を広げたところでゴミ袋は満杯にならないだろうから、せめて時間きっちり美化運動に励んだってことにしといたほうが得策だというのがバクの自論。
「でも、あと1時間もどこで時間潰すの?」
「近場にコンビニないっすもんねぇ。俺らの地元にはあるけど、こっからだと20分くらい掛かるしー……」
全員が頭をひねる中、俺はバス停からオリガク正門までの1本道を眺め、思い出す。
「おい、あれは? きゅうが飯うまいって言ってた店、この通りじゃねえの」
「ああ、オリガク生御用達! バンビ先輩知ってます?」
「CobaCoのこと? でもサボッてるの生徒に見られたら、」
「そんなのバンビ先輩が可愛らしく『内緒にしてネッ』て言えば問題なーし!」
「バクの女声キモイ……」
同意から吹き出すと、バクに背中を押されるバンビ先輩が振り向いた。どことなく顔色を窺ってくる眼差しに、
「俺はそんな高い声出ないっすよ」
と言えば、
「だよね」
と、ホッとしたような笑みを浮かべられた。
やっぱ粗大ゴミ扱いされた俺が怒ってるか気にしてたっぽいな。今さら怒ってねえと言っても、返ってくる反応が目に浮かぶからな……。安心したなら放っておくか。
街方面行きのバス停からオリガクまでの通学路。その途中にあるらしい店での休憩を目指し、『ギャラリー&サークルスペースCobaCo』という看板を見つけたときだった。
「楓鹿!」
呼ばれたバンビ先輩はぴたりと足を止める。
CobaCoの軒下に立っていた男が、笑顔で手を振ってきた。