オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-

「良かった。来ねえから電話しようと思ってたわ」


知り合いか? 知り合いだろーな。見たことねえ制服だけど、やたら綺麗な顔してるし。足なげー。折れそう。


バンビ先輩の知り合いって、イケメンっつーのはこういう奴を差すんだろうなって男ばっかだな。


「つーか、なんでジャージ? ……は? ガラわりぃな」


ああ? ガラわりぃな、って俺らを見て言ったよな。


「楓鹿、何してんの? うしろの奴、誰?」


てめぇこそ誰だよ。チャラ男が眼飛ばしやがって。ナンパだったら追い返してやったものを。


その空気感たっぷりのおしゃれパーマ1本残らず毟るぞ。


――で、バンビ先輩はなして無反応なのわ?


「なんで、今さら……」


バクと目を合わせたとき、蚊の鳴くような声が聞こえた。それはチャラ男も同じだったようで。


「楓鹿? どうしたんだよ。俺お前に会いに来たんだけど……まさか、こいつらになんかされた?」


まさかって、はあ? 前後の整合性ゼロだな。


「な~んか俺らが先輩に付き纏ってるみたいな言い方してますけど、俺らからすれば、お兄さんのほうがよっぽど付き纏ってるように見えますけどー?」

「あ? お前らに用ねぇ、」

「つーか誰? ストーカー? こっわー。流行らね~」

「……頭湧いてんのか? 楓鹿、こいつら何? 俺のメール見てねえの?」


目が笑ってないバクを取り合わないのは正解だが、即相手をバンビ先輩に変えんのは気に食わねえな。
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