ショコラ SideStory
「興味無いなんていつ言ったよ。俺はいつだって」
「いつだって仕事ばっかりじゃないですか。私のことなんて」
一呼吸あいて、森宮ちゃんの顔がくしゃりとゆがむ。潤んだ瞳からは滴がこんもり湧き上がった。
「私の気持ちなんて、全然考えてくれないじゃないですかぁ」
ああ、可愛い。
この顔見て正気でいられる男の気が知れない。
面白くて黙ってみていたら、隆二くんが私の肩をポンと叩いた。
「俺達でよう? ここは二人で話してもらったほうがいいでしょ」
「あ、そうね」
「ってことで香坂さん、最後支払いお願いします」
隆二くんは財布から1万円札を引き抜くとテーブルにポンと置いて、私を急かした。
「康子さん、隆二さん」
「森宮ちゃん。ちゃんと言いたいこと言いなさいよ」
私はそれだけを言って、後ろ髪引かれる気持ちで彼らの元から遠ざかる。
最後まで見たかったのに。
でもそれも野暮ってもんかしら。
店を出て、生ぬるい空気に不快感を感じながら、前を歩く隆二くんを追った。
「あの二人、大丈夫かしら」
「んー、多分」
「香坂くんっていつもあんなに優柔不断なの?」
「考えすぎて遠回りしちゃってるのは確かかも」
クスリと笑って、隆二くんは私の方を振り返る。