ショコラ SideStory


「興味無いなんていつ言ったよ。俺はいつだって」

「いつだって仕事ばっかりじゃないですか。私のことなんて」


一呼吸あいて、森宮ちゃんの顔がくしゃりとゆがむ。潤んだ瞳からは滴がこんもり湧き上がった。


「私の気持ちなんて、全然考えてくれないじゃないですかぁ」


ああ、可愛い。
この顔見て正気でいられる男の気が知れない。


面白くて黙ってみていたら、隆二くんが私の肩をポンと叩いた。


「俺達でよう? ここは二人で話してもらったほうがいいでしょ」

「あ、そうね」

「ってことで香坂さん、最後支払いお願いします」


隆二くんは財布から1万円札を引き抜くとテーブルにポンと置いて、私を急かした。


「康子さん、隆二さん」

「森宮ちゃん。ちゃんと言いたいこと言いなさいよ」


私はそれだけを言って、後ろ髪引かれる気持ちで彼らの元から遠ざかる。

最後まで見たかったのに。
でもそれも野暮ってもんかしら。



 店を出て、生ぬるい空気に不快感を感じながら、前を歩く隆二くんを追った。


「あの二人、大丈夫かしら」

「んー、多分」

「香坂くんっていつもあんなに優柔不断なの?」

「考えすぎて遠回りしちゃってるのは確かかも」


クスリと笑って、隆二くんは私の方を振り返る。

< 221 / 432 >

この作品をシェア

pagetop