ショコラ SideStory
*
それから、ついつい気になって窓の外を眺めてしまう。
娘ちゃんは木曜日も松川塾があるらしく、外階段を降りてきたなと思ったら、しばらく階段の下で突っ立っていた。
それが三十分たってもそのままだったから、心配になって事情を聞くと、お母さんはお仕事で五時を過ぎないと迎えに来られないのだそう。
「だったら、中で待っていたらいいわ」
その日はちょうど店も混んでいなかったので、あたしは彼女を窓際の席に座らせた。
お客さんじゃないから、あげれるのはお水だけだけど、それでもその子は嬉しそうに笑う。
やがて、稲垣さんが走って迎えにやってくる。
「すみません。塾で待ってるように言ったんですけど」
「あたしが誘ったんです。寒そうだったし」
「ありがとうございます。でも、今度からは塾の入り口で待たせてもらいますから」
松川先生にお願いしようね、と彼女はいい、娘ちゃんは嬉しそうに頷く。
でも、二階の部屋は一部屋だ。この子のクラスが終わった後には高学年の子たちのクラスがある。
宗司さんだって、そんなところにいつまでも残られたら迷惑だと思うんだけど。
週末も娘ちゃんを連れて買い物袋を下げて歩いていた。
狙ったかのように宗司さんが生徒を見送りに降りてくる時間に。一言二言挨拶をして、満足したように帰っていく。
それを見てしまったあたしは、なんだか気が気じゃない。
それから、ついつい気になって窓の外を眺めてしまう。
娘ちゃんは木曜日も松川塾があるらしく、外階段を降りてきたなと思ったら、しばらく階段の下で突っ立っていた。
それが三十分たってもそのままだったから、心配になって事情を聞くと、お母さんはお仕事で五時を過ぎないと迎えに来られないのだそう。
「だったら、中で待っていたらいいわ」
その日はちょうど店も混んでいなかったので、あたしは彼女を窓際の席に座らせた。
お客さんじゃないから、あげれるのはお水だけだけど、それでもその子は嬉しそうに笑う。
やがて、稲垣さんが走って迎えにやってくる。
「すみません。塾で待ってるように言ったんですけど」
「あたしが誘ったんです。寒そうだったし」
「ありがとうございます。でも、今度からは塾の入り口で待たせてもらいますから」
松川先生にお願いしようね、と彼女はいい、娘ちゃんは嬉しそうに頷く。
でも、二階の部屋は一部屋だ。この子のクラスが終わった後には高学年の子たちのクラスがある。
宗司さんだって、そんなところにいつまでも残られたら迷惑だと思うんだけど。
週末も娘ちゃんを連れて買い物袋を下げて歩いていた。
狙ったかのように宗司さんが生徒を見送りに降りてくる時間に。一言二言挨拶をして、満足したように帰っていく。
それを見てしまったあたしは、なんだか気が気じゃない。