ショコラ SideStory
*
「お待たせしました」
今日は月曜日。
窓際の席を指定して座った稲垣さんから、珈琲のおかわりを注文された。
「ありがとうございます」
「いえ、上の塾待ちですか? 結構おられるんですよ?」
別のテーブルでは、仲良しになっているママさんたちが声をあげて笑っている。
一緒に話したらいいのに、という気持ちで告げると稲垣さんは苦笑した。
「いいの。私、そんなに仲いい方いないんです」
確かに、彼女のお茶のお供は本だ。しかも、文庫じゃなく新書。
「……あ、図書館の本なんですね?」
そういえば司書さんだって宗司さんも言ってたなぁと思って話すと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ええ。私図書館勤務なんです。月曜は休館日で休みで。……その彼と出会ったのも、図書館でだったんです」
「へ、へぇ」
宗治さんの話と合致する。
嫌な予感を抱えつつ、あたしは店内を見回した。
今のところ、注文も落ち着いてはいる。
すぐレジに来そうな人も……いないな。
稲垣さんは身を乗り出すようにしてあたしに話し続けている。
仲いい人が普段いないからって、あたしに話さなくてもいいと思うんだけど。つか、あたしは仕事中ですが?
でも、あまり無碍にもしたくないので、曖昧に相槌を打つ。
「お待たせしました」
今日は月曜日。
窓際の席を指定して座った稲垣さんから、珈琲のおかわりを注文された。
「ありがとうございます」
「いえ、上の塾待ちですか? 結構おられるんですよ?」
別のテーブルでは、仲良しになっているママさんたちが声をあげて笑っている。
一緒に話したらいいのに、という気持ちで告げると稲垣さんは苦笑した。
「いいの。私、そんなに仲いい方いないんです」
確かに、彼女のお茶のお供は本だ。しかも、文庫じゃなく新書。
「……あ、図書館の本なんですね?」
そういえば司書さんだって宗司さんも言ってたなぁと思って話すと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ええ。私図書館勤務なんです。月曜は休館日で休みで。……その彼と出会ったのも、図書館でだったんです」
「へ、へぇ」
宗治さんの話と合致する。
嫌な予感を抱えつつ、あたしは店内を見回した。
今のところ、注文も落ち着いてはいる。
すぐレジに来そうな人も……いないな。
稲垣さんは身を乗り出すようにしてあたしに話し続けている。
仲いい人が普段いないからって、あたしに話さなくてもいいと思うんだけど。つか、あたしは仕事中ですが?
でも、あまり無碍にもしたくないので、曖昧に相槌を打つ。