だってキミが好きだった
「……ふざけないでくださいよ。あと乱すの止めてください」
「……なんか固くねぇか?何、オマエ緊張してんの?」
千歳さんのその言葉にドキリとする。
嘘、ばれた?
固いって……私そんなに固かったかな。
どうしよう。
焦る私に対し、千歳さんは髪を乱すのをやめて優しく頭を撫でてくる。
……温かい。
千歳さんに頭を撫でられるのは好きだ。
千歳さんの手は温かくて優しいから。
その温もりに目を閉じれば、乱れていた鼓動も落ち着き始める。
「どうして」
大分緊張が和らいだところで、そう呟いてみる。
すると、頭を撫でていた千歳さんの手がピタリと止まった。
「……」
「……どうして、呼んだんですか?……悠さんを通して」
そう言えば、頭から重みが消える。
千歳さんが来る前のしーんとした空気。
あの空気に戻ってしまった。
千歳さんを見てみれば、困った様に苦笑いをしていて。
そして千歳さんはゆっくりと言葉を発していく。