花蓮【完結】
「私は信司といる時に顔を見てたけど、琴子の彼氏だとは思わなかったわ」


「佐緒里さんも、久しぶり」


「たっちゃんは~私が一目ぼれしたんだよ~。
かっこよすぎでしょ」





デレデレしながら腕にしがみつくこと。



まさか、ことが好きになったとは。
男からかと思った。



「へえ、達也“さん”、よろしくねえ」


「よろしく」


「じゃあ、用は済んだ。行くぞ、佐緒里」


「あ、え?うん」




あたしはスタスタと扉に向かう。


こと、ぞっこんみたいだなあ。
まあ、幸せになってくれ。

嬉しそうなことの顔に、あたしも安堵の笑みを漏らす。



「ちょ、麻美ーもっと琴子おちょくろうよ~」


「いや、あれは必要ないだろ」


「そう?」


「おちょくるなら菜々美だけど」


「あー確かに!」




ちらっと後ろを振り返ると、菜々美は拓斗の前できらきらと笑顔を見せている。

かー眩しい笑顔。
素敵過ぎるね。



拓斗、いい奴だからな。

それはあたしが保証する。
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