二重人格神様




待ってよ、どうゆう意味なの?



『ま…って』



待ってよ…何もかもわからない、ボォーとする意識の中


私は必死にその声の主に向かって手を伸ばす




『…だめ』


駄目だよ…待って、誰なの?


どうゆう意味…なの?


「ま…待ってっ」


そういい、そこにある何かを手に掴んだ時ー…


























「いのり?寝ぼけているのかい?」


「…え?」



「………………」


不意に私の耳に慣れ親しんだ声が響き、重い瞼を開けると


手には誰かの服が握られていて、その服の主が、私を驚いた表情で見つめていた




「おはよう。起こしてしまったかな」


「…へ?」


か、海鈴さん?


聞こえた声の主を掴んだはずだったのに、私が掴んでいるのは海鈴さんの服



な、なんで?


「か、海鈴…さん?」


「そうだよ、どうしたの?やっぱり、寝ぼけているのかい?」



鼻で軽くわらい、ギシッと音をたてベッドに座り私の頭を触る


「…」

寝ぼけて、る?


意味がわからなく、キョロキョロと部屋を見渡せばここは海鈴さんの部屋


あれ…わたし、寝ぼけてたの?


あまりにもリアルな声の感覚に寝ぼけていたのだと信じられなく



呆然とする私に、海鈴さんは心配そうに見つめる











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