二重人格神様





「………」


い、行っちゃった……


彼がいなくなり、助かったことを改めて感じると涙が目に浮かび指で拭うとフェイランさんがパアッと笑う



「あら、泣いちゃって!小鳥ちゃんってば!」


「え…あ、きゃっ」


ギュウといきなり抱き締められ、傘がボトッと鈍い音を立てながら落ちる



な、なにをするつもり!?


「あ、あの…ちょ」


こ、この人!さっきとギャップがありすぎ!さっきは、あんなに黒かったのに!


しかも、フェイランさんは男の人


抱き締められて、その力や感覚に改めて男を感じてしまい顔が赤くなる



「は、離して、下さいっ」


「いいじゃないの?だって、私は助けてあげたのよ?サービスだと思って!」


そんなこと思えないよっ!


「困り、ますっ」


「んー、やっはり、女の子は気持ちいいわ」


「…~っ」


力いっぱい離れようとしても、ビクともしなく…身体をねじりながら暴れると



「フェイラン、そのくらいに。それより、やることがあるだろう?」


「え?あ、そうね…」



海鈴様の声に残念そうに私から身体をはなし、落ちた傘を拾い再び私に持たせる



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