二重人格神様








―――――――…
―――――…





「いのり…起きて」


「……ん」


「いのり…」



ん…だ、れ?



身体が怠く、眠い意識の中誰かの声が頭に響き重い瞼を少しだけ上げる



「あ、よかった。おはよう、いのり」


「………」


い、のり?わた、し?


ゴソゴソと音を立てながら布団を脚でけり、ゴロンと寝返りをうち声の主をみる



「ん…おば、さん?…」


あれ、うそ。おばさんが、起こしに来てくれたのかな…でも、わたしまだ



「だめ…まだ眠いよ…おばさん」

「え?」


「もう少しだけ…」

「………」


ゴロンとおばさんに背中をむけ、身体を小さくしながら少しあけた目を閉じるとクスリと笑う声が響く


「おばさん、ね。とんだ勘違いだ。いのり…僕はそんなに甘くはないよ」


「…ん」


そんな言葉を放つと、ギシッとベッドが軋む音がし、少し沈む感覚がする



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