不思議電波塔
由貴はふと気づいたように四季を見上げる。
「四季は疲れてないの?今日みんなオーバーワークだと思うけど」
由貴、四季、涼、忍、智の中で体調を崩しやすいのが、四季である。四季の次が涼だろうか?
由貴、忍、智は身体は強い方で風邪もほとんどひかない。
四季はベッドのふちに腰かけると「大丈夫」と言った。
「由貴が具合悪そうだから『僕が元気でいないと』って魔法がかかっているみたい」
「何それ。それもすごいけど」
四季の額にふれてみると熱はないようだった。顔色もいい。
由貴が普段から気にかけているもののひとつに、四季の体調がある。四季が元気そうだと由貴の心配事もその分軽くなる。悪いことではない。
「ジャスティってどんな子?小説読んでもいい?」
「うん。ジャスティはこれから書くんだけどね。今はジャスティが出てくる前の話を書いてた。ジャスティは明るくてのびのびした子だよ」
由貴の性格からは少し想像のつかない人間像を言われて、四季は不思議そうにする。
「由貴の書く『明るくてのびのびした子』ってどんな子なんだろう」
「意外?俺の中ではわりとすんなりイメージ出来た子なんだけど」
「イメージはもうしっかりあるんだ」
「うん。あるよ。俺が書くとジャスティもこちらの世界で会えるのかな?」
「……。会えるかも。そうだね。考えてみるとそうだ」
「外見的にはどうなるんだろう。四季の絵の雰囲気に近い感じになるんだよね?たぶん」
「僕がイメージする『明るくてのびのびした子』って、うちのお父さんみたいな人想像しちゃうんだけど」
「……」
四季の父親である綾川祈は明るくて人懐こい人だ。童顔で元気で運動神経がいい。
仕事がお休みの日に四季の家に遊びに行ったら、バク転か何かをしていて驚いた。
由貴は想像して可笑しくなって笑い出してしまった。
「ははは。すごい、いいイメージ。いいよ、綾川祈で」
「えー?由貴の書く小説なのに、イメージがうちのお父さん?」
「だってジャスティ、そういう雰囲気だし」