不思議電波塔
ノールたちの攪乱が功を奏して、ユニスとリュールは無事アレクメスへと逃げ伸びることとなる。
ユニスとリュールは途中で生き別れ、ユニスはひとり、アレクメスの西海岸の街へたどり着いた。
ケファウルという地で、ネムフェリウは目と鼻の先であった。
ユニスは4歳になっていた。
同じ頃、ネムフェルン島でセラミスに育てられたジャスティも4歳になっていた。
ジャスティは明るく快活な子に育ち、セラミスのことを「じーちゃん」と慕っていた。
いつになく不穏な空に、ジャスティも何か感じるものがあるのか、その日は窓からじっと空を見つめ、何かを読み取ろうとしているようだった。
崩壊してゆく世界。
その混沌。
「──ジャスティ、何か見えるのか?」
「誰か…泣いているみたい」
セラミスとて、このような巨大な綻びを繕う術は知らない。
「ああ…リオピアの王都が陥落したとか言っておったな。王子は何処かに逃げのびたらしいことを聞いたが」
「リオピアの王子?」
「そう。海の向こうの国だ。上の王子はお前と同じ歳らしいが。可哀想に」
「可哀想…」
「お前にとっては…そうだな、私が急にいなくなってもう会えないようなことだ」
ジャスティは想像してひどく悲しい気持ちになった。
窓辺から離れ、食卓の前の椅子に座る。
と──その目からぽろぽろと涙がこぼれ出した。
「…ジャスティ」
「泣いてる」
ジャスティは感情表現が豊かで笑ったり怒ったり泣いたりということはよくある。
だが、その泣き方がジャスティにしては何処かいつもと違うような妙なひっかかりをセラミスは感じた。