不思議電波塔
その子はユニスを振り返り見つめた。ユニスはその子の髪を撫でる。
「怖かったね」
その子ははにかんだように笑顔を浮かべる。
そこにひとりの男性が駆けてきた。
「ごめん、レミニア。遅くなった。何とかとれた。…あれ?」
男はユニスを見て「何だ?」という顔つきになる。
「俺がいない間に何かあったか?何処ぞの家の御子息かね」
「あなたが来ないから、この子に男の人を見かけなかったか聞いていたのよ。ね?」
「はい」
ユニスは女性が無事に探し人と会うことが出来てほっとしたように言った。
「では、私はこれで」
「あ、待って!」
女性は気になったようにユニスを呼びとめる。
「送るわ。お家は何処?この辺の子?」
橋の上に立っている子供。見ていて不安を感じた。まるで、今にも橋から飛び降りそうで。
ユニスは女性にそう問われて答えられなくなってしまった。
本当のことを言うことも出来ない。
リオピアの王子だと明かせば、このふたりが危険にさらされるかもわからないからだ。
「──…」
考えていると急に息が苦しくなってきた。ユニスは胸元をおさえて座り込む。
限界だと判断し、ユリエが姿をとった。
「マスター、姿をとることをお許しを」
ユリエはかがみ込み、ユニスを守るように腕に抱いた。
いきなり姿をとったユリエを見て、男はしばし言葉を失い、呟いた。
「精霊つきの者か。…驚いたな」
ユリエは黒髪の男性の姿をとっていた。ノールが黒髪でもう少し歳を重ねればそうなるだろうという姿に。
ノールの隊だけは犠牲者が出た話を耳にしてはいないため、ユニスがそれで少しでも希望を持ってくれたらという思いがあるのだ。