不思議電波塔
宿は大通り沿いではなく奥まったところにある落ち着いた宿だった。
ユリエはそこに宿をとることに決め、ユニスが眠っていることを確認してから、エレシアとレミニアにユニスのことを話した。
エレシアとレミニアもユリウス王と王妃ファスティーナがフォーヌ軍に殺された話は耳にしていたようだった。
「マスターがこのことについて話したがらないのは、ご自分に関わる者の命が狙われやすいといったことがあるからです」
「──なるほどね」
エレシアは腕を組み考え込んでいたが、自分たちの事情も話し始めた。
「あんたが精霊だというのを信頼して話をする。俺たちはハロンの王妃様の命を受けてアレクメスに逃れてきた。連れている子は王妃様の子だ。巷で噂されている通り、ハロンには今、年若い青年や少女、幼い子供が狙い生気を吸う幻獣がいる。それがアレクメスにまで及びはじめているらしいんだが、ハロンよりは安全だろうということでここに来たわけだ」
「そうですか」
ユニスがまだ幼い分、ユリエはユリウスやノール、またリオピアを訪れる外務官や客人などを通じて、各国の世情については敏感になるようにしていた。
幻獣の覚醒があったらしいという話が流れ始めた頃から、ハロンの情報は国の内部で何が起こっているのかは他国にはわかりにくくなっていた。
ここでハロンのことを聞けるのなら貴重ではある。