不思議電波塔
「僕のすべきこと…」
「はい。己の生き方が世界に大きく影響すると言われると、不安も大きいものですが──小さな影響でも、大きな影響でも、人は常に何らかに影響を与えてしか生きられぬ者です。考えても逃れられぬものが運命なら、それを自らの力で変えてゆくか、逆らえない力に従ってゆくかのどちらかしかない。そして、命運を決めることが出来るほどの力は、誰もが持てるわけではないのです。天命があり、その器があって、初めて成るものだからです」
ジャスティはそう言われて──その言葉には素直に頷けたが、にわかには理解しきれるものではなかった。
何より、幻獣の覚醒があって以降のハロン国の事情そのものが、ほとんどあってないようなものに等しい状態だったのである。
横行するのは、嘘か真かもわからないような話ばかりで、今やハロンに行った者は帰ってくることはない、と言われているほどなのだ。
「僕がアミステイル王家の王子だということと、命運を決める者だということは理解したけど──ちょっと待って。僕は歴史は嫌いじゃないけど、ここ10年のハロン国についてはほとんどわからない。嘘なのか本当なのかも判別のつかない話がひとり歩きをしている印象で──。情報不足だよ。それとも、僕自身がハロンに行って見て来なければならないということ?」
困ったようにジャスティが言うと、それまで黙っていたカイが怒鳴った。
「──そんなふざけた話、あるかよ!」
全員が驚いてカイを見る。カイは感情がほとばしるままに言葉にした。
「ジャスティがハロンの生まれだから、王子だから、何だって言うんだ!?だいたい世界の綻びなんて、妖華が台頭するなんて、世の中の人間の中身が腐ってきてるから悪いんだろ!?それとも人間なんて最初から腐ってるもんだなんて開き直るのか!?バカにしてんじゃないよ!何だってそんな腐った奴らなんかのために、ジャスティなんかが責任とらなきゃいけないんだよ!いい加減にしろよ!腐った奴らは腐ってる奴らで、自分らで自分の人生の責任とりゃいいんだ!ジャスティはネムフェリウで育って、今日まで生きて来たんだ。そんなもん些細なことだって片づけるのか!?冗談じゃねぇ!!俺はこんなことでジャスティひとり見殺しにするような真似、絶対に許さないからな!!」