天使の瞳
「あー…」
「付き合うん?」
「付き合わん」
「へー…珍しい」
「だってそいつ晃に告って振られて俺…。どーやねんっつー話やわ」
「え、そうなんや。晃くんモテるもんな」
「チャラ男やからな」
「人の事言えんけどな…」
「俺、チャラちゃうし。…っつーか風呂入ろー。おばちゃんに言ってこよ」
そう言いながらタクは部屋を出て行った。
何故かホッとしてる自分が居る。一人になるより誰かと居るほうが心が落ち着く。
化粧水で肌を整えた後、あたしはベッドに横になった。
どれくらい経ったか分からない時間。一階からタクの笑い声が聞こえる。
また、タクはお母さんと馬鹿みたいな話をしてるに違いない。
その笑い声とともに足音が近くなりドアが一気に開いた。
「何?馬鹿話し?」
タクを見て呆れた口調であたしは言った。
「これ、新しい歩夢のんやって。あいつパンツにこだわりあるらしい」
タクはケラケラ声に出して笑う。
「ちょ、つーか下なんかズボン穿いてよ!!」
パンツ一丁のタクにそう声を上げる。
「だってねーもん」
「歩夢に借りて」
「だってアイツおらんし探すの面倒くさい」
「ありえへん!!」
あたしは近くにあったクッションをタクに向けて投げ捨てた。