天使の瞳
「うん」
そう言って左手を上にあげて見せる。
「何?どうしてん?」
「さぁ…」
「さぁって何?お前どーしたんかも分からんのかよ。お前ってどんくせーな」
「うるさい!!」
ケラケラ笑う歩夢を思いっきり蹴っ飛ばしてやった。
「いってーなぁ!!向こう行けや」
「いいやん別に…」
そう言って歩夢のタオルケットをもう一度奪って丸まった。
「もー自分の取って来いや」
ここぞとばかりに嫌そうな声を出す弟。
壁の方を向いてあたしに背を向けた歩夢はもう一度寝る態勢に入った。
真っ暗な部屋に静まり返った空気。
それが何となくすごく重く感じる。
ドクンと訳の分からない心臓の音が自棄に大きく聞こえて来た。
「なぁ…歩夢?…寝た?」
「寝てへん。お前に起こされたから寝られん」
「あぁ…ごめん」
「で、何?」
「あんな、あのあそこの海岸の廃墟の旅館って行った事ある?」
恐る恐る聞いてみたものの凄くドクドクして怖かった。