天使の瞳
「あー、あの霊スポットやろ?」
「行った事あるん?」
「おー、行ったで。けど別になんもなかった」
「…え?」
「…え?」
オウム返ししてきた歩夢は身体をあたしに向けてくる。
「いや…なんもなかったん?」
「おぉ。別になんも。そー言われてっけど何もない」
「へー…」
曖昧な呟きをしてしまった。
歩夢、同様にタクも千穂も晃くんも何もなかったって言ってた。
じゃあ一体あたしの身近に起こった全ての違和感はなんやったん?
電話も誰かに押された感覚も何かを見たのも全て幻やったん?
そう考えるとよりいっそう身体が強張った。
「あー、分かった。それでか」
「え?」
「だからお前一人で寝れんのや」
歩夢はケラケラ笑いだす。
「うるさい!!それにお前って言うな!!」
フイっと顔を背けてあたしはベッドに顔を伏せ、まだ笑っている歩夢を無視して目を瞑った。