天使の瞳
「弱い?」
「うん、皮膚と皮膚がくっついてないってさ。まぁそんな感じっぽい」
「へー…そうなんや。けど、大丈夫なんやろ?」
「…うん」
「ほな良かったやん」
「…うん」
シックリしない頷きをしたあたしに、隣に来た看護師さんは会計に出すファイルを渡してきた。
お大事に。ってそう言われた言葉も何だかよく思えなかった。
お大事にって言われても、この怪我した理由も何も分からんのに。
会計を済ませた後、お腹が空いたと言った千穂に合わせ、あたしはファミレスへと向かった。
「なぁ、音羽?」
四人掛けのソファー席へ腰を下ろすと同時に千穂はあたしを呼ぶ。
「うん?」
「音羽、肩痛いん?」
「え?」
「だって会った時からずっと右肩触ってるやん」
言われて分かった。
そんな事、全然自分では意識してなかった。
千穂に言われるくらい触ってたなんて自分では分かんなかった。
「うーん…なんかずっと痛いねん」
「音羽って肩コリあったっけ?」
「ないよ。こんなずっと痛いの初めて」
「そーやんな。何で痛いん?何したん?」
「分からん…」
「もー音羽最近、分からんばっかやん」
「そうかなぁ…」
「そうやって…」
千穂は少し顔を顰めて小さく息を吐き捨てた。