天使の瞳
暫くして注文したパスタが運ばれてきた。
パスタを器用にフォークにクルクルと巻き付けて千穂は口に運ぶ。
「音羽、本間に食べんくていいん?」
「うん。食欲ないわ」
「ふーん…。あ、そうや」
突然思い出したかのように声を出す千穂は一旦、水を口に含む。
「どーしたん?」
「今、拓斗達、海におるんやて」
「え?電話したん?」
「うん。何しとんのかなーって思ったら晃達と他のツレとで海やって」
「この前行ったばかりやのに…」
「どーぜ女捜しやろ。それしか脳ないもんな、あいつら」
「まぁね…」
「あー…!!夏やと言うのに男もおらんって案外寂しいよな」
投げやりになった千穂はフ―っと一息を吐きパスタを口に含む。
「千穂は晃くんおるやん」
「なんで晃なんよ。じゃあ音羽だって拓斗おるやん」
「いいわ、あんなん」
「あんなんって言うなよ。以外に拓斗傷つくで。音羽の事スキやのに」
「あのな、好きって意味違うやろ?ラブじゃないやろ?」
「じゃあLIKEのほうか」
「当たり前やん」
思わず深くため息をついてしまった。
目の前に置かれているメロンソーダーの氷がカランと音を立てて崩れる。