天使の瞳
「あー…でもそれ。その手の事、拓斗に言ったほうがええよ。心配してるやろうし」
「うん…って言うか病院代、返してないからどっちみち会わなあかんし」
「あぁ…そうなんや」
「うん」
ファミレスを出た後はブラブラとショップ巡りをした。
何点か服を買って、夕方には千穂と別れて家に帰った。
まだ誰も帰ってないリビングのソファーに腰を下ろして、少し疲れた身体を休めようとあたしは目を瞑った。
少しうたた寝をしていた時だった。
鞄の中に入っている携帯の振動音が耳に伝わる。
何気なく携帯を取り出してメールボックスを開けた後、ある疑問を抱いた。
…宛先が不明。
不明と言うか白紙。送られてきた相手の名前すらアドレスすら何もなかった。
「…あれ?」
携帯の故障か。
と思ったのも束の間だった。
「いやゃっ、」
バンっと壁に当てた携帯が音を立てて落下する。
小刻みに震えてくる身体が異様に激しくなり震えてる手と投げ捨てた携帯を交互に見た。
差し出し人すら何もなかったメール。
画面に刻まれていたのは真っ赤な色で書かれた“死ね”と言う文字がびっしりと埋まっていた。